時に流されぬ姿勢
示現会会員で、京都支部長を務める荒井さんのアトリエを訪ねて、北窓から入る柔らかな光と、仄かに漂う油絵具の臭いが心地よく、作家と作品を、静かに包み込んでいた。しかし、この静けさも、一瞬の安らぎでしかない。感動を創造に変え、キャンバスに転化する仕事は、何れ訪れる壮絶な緊迫感によって、払拭され、苦楽が交り合う空間と変貌するのである。『表現すると言うことは、自己の存在を手探りする事』と語る荒井さんは、このアトリエで、自身の有り様を見つめているのだろう。そんなアトリエには、幼児の描いた絵が、何枚も貼られている。長年、児童画の指導に従事され、子供から得た純粋な発想と、自由な表現を神聖なものとして受け止め、自身の活動の道標として大切にされている。又、『悠久の時を経て、自然の一部となった街角に、心の原風景を感じて魅せられることが多い』と言われ、それらは今、制作中の作品に対しても、時に流されまいと変わらぬ姿勢を取り続けている事からも伺える。
京田辺芸術家協会発行「視・展」No3より