海上雅臣が推す 戦後美術の三人展
棟方志功、井上有一、八木一夫
2009.5.30(土)〜7.26(日)

弁財天
会期中のイベント

 5/31(日)10時 公開対談
 出演:韓氷Han Bing(中国鄭州生。東京大学大学院総合文化研究所博士課程)、海上雅臣
入館料のみでご入場できます。


貴婦人の椅子

性急な近代化、西洋化の中で、言葉とともに美術をめぐる制度が創出され、「絵画」「彫刻」を中心とし、「工芸」を下位概念とする近代日本の美術界が形成された。伝統的美の世界は余儀なく組み立てなおされ、その過程で「書は美術ならず」論争を始め、「焼物は実用につながるから工芸であって美術ではない」、「木版画は前近代的表現だ」というもろもろの誤解が生じてしまった。概念の空転になりがちな美術界は生活の土壌から遊離し、人々から疎遠されるようになった。 ところがいつの時代にも、人々は美術を求める。その理由について、海上雅臣氏はつぎのように明快に述べている。「私たちの感性の土壌をとりもどすために。この時代をのりきる生命力の原点をとりもどすために。」様式や技法の次元を超えて、人間精神の解放への果てない探求にこそ現代美術の本義を見る海上氏は、それの発見と育成を使命のように自らに課した。氏の活動は、空疎な概念と既成のジャンル分けを一切無視し、生きている美術を生きている人々の手に渡す静かな革命となった。  本展は海上氏が推した作家たちの中から、とくに出会いの意味が深かった三人の作品を展示し、伝統的造形手段から実った現代美術の成果を一堂に展示する。  木版画をタブローと同等の訴求力に高めた棟方志功の傑作《湧然する女者達々》《没然する女者達々》をはじめ、海上家ゆかりゆえ、本展で初めて公開される肉筆画。焼物でシュールリアリズムを実現させた八木一夫の《壁体》とオブジェのシリーズ。漢字の本源的生命力を鮮烈に解放させた井上有一の代表作の数々。  井上有一の部では、昨秋北京の今日美術館で開かれた回顧展の一部を再現するため、作家の歩みが見えると同時に、中国での展示の雰囲気を味わうこともできる。  海上氏が長年推し進めてきた、作家を世間へ送る「六月の風」運動は、今や世界のあちこちで旋風を巻き起こしている。その爽快な風に触れることで、見る人はきっと美術との本来の出会いを果たすことであろう。

 

馬鹿野郎