近藤光紀は、私の生まれた信州松本と縁のある画家である。
明治34年東京本郷生まれ。曽宮一念に師事し、大正8年に東京美術学校へ入学するが病気のため中退。しかし、在学中から帝展に入選する俊英だった。
昭和21年に、疎開先の石井柏亭を頼って来松し、郊外の浅間温泉に住むが、その家は柏亭宅と道を隔てて目の前だったという。
ところがその2年半後に、この地の水源に腸チフス菌が混入する事件に巻き込まれて病死する。
生前の本人を知る人の話では、非常にか細い身体をしていたそうで、絵を描く以外に仕事らしい仕事ができなかったらしい。
温泉内の資産家の旅館主宅へ小品を持って訪れても、買って欲しいと切り出せず、そわそわして落ち着かず絵だけを置いて帰っていったという。
作風は本人の性格を反映してか、繊細で上品な雰囲気を漂わせたものが多い。
構図が熟慮され構成がしっかりしている。
この作も、曽宮の影響を感じさせながらも、技巧に溺れることなく、のびやかで、作家の確かな自信を感じさせる佳品である。
大竹 永明
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