私の愛する一点


菅 創吉 壺中
1975年 油彩 キャンバス F8号

 普通であれば平凡なサラリーマンで終わり、いまごろは、好きな本を読んだり、妻と一緒にのんびりと海外旅行をしたりしていたはずであった。
 それなのにいつのまにか、美術の活動に入ってしまい、「すどう美術館」という名のもとに自宅を開放して収集した作品を見ていただいたり、果ては銀座まで出てきてギャラリーを開くようにまでなってしまった。ひとりの画家の作品との出会いがわが人生を思わぬ方向に向けさせたのである。人生とは何が起こるかわからないものだとしみじみ感じている。
 その画家の名前は菅創吉、そして、菅の作品に感動してはじめて手にしたのが、この『壷中』という作品である。大事に家に持ってきて、壁に掛けた時のうれしさ、感激は20年たっても忘れない。これこそが本当の絵だと思ったものである。
 絵とは表面的な美しさやテクニックではないと知らされたのも菅創吉の作品によってである。

須藤 一郎


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