蒐集の経移と作品について
湘南とくに平塚ゆかりの画家を顕彰発掘することを主眼としている私にとって、二見利節の作品はなくてならないものです。その中でも二見の第1黄金期である昭和10年代の作品に巡り遭うことを念じていましたがその機会はなく時は流れていきました。そんな折、故高木健雄氏が二見の人物画を入手したとの連絡があり、駆け付けてみると、そこにはあの「傘屋」があったのです。この作品は昭和12年の春陽会に出品された「作業S」通称「傘屋」のバリエーションです。資料としては残っているものの図録もなく関係者の間では幻の作品でした。当時、この作品を見て帰朝した青山義雄はなぜ賞がつかないのか不思議に思ったとの感想を残しています。また当時の二見のことを木村荘八は「若くして自得の風を持つということは作家の資質にかけて識者に迎えられる条件の一つ」と評し、坂本繁二郎は「色彩のスケールが豊かで表面より寧ろ底力がある。色彩も単なる色彩のためでなく実相追求になっている。それで良く見て居る方がだんだん良くなって来る」と評し、「明日の画壇の為に二見氏が必要不可欠である」とまで絶賛しているのは何故でしょう